コップいっぱいの冷たいお水

宿直明けの昼、
炎天下に駐車した車の中は、
エアコンをフル回転させてもすぐには冷えてこない。

・・・
帰り道、道路工事の業者さんが
横断歩道の白い部分の塗り替えを行っていた。
アスファルトの照り返しと
ジリジリと突き刺す真夏の太陽
いくら仕事とはいえ、
きつい作業だ。

・・・・
ふと、20数年前のことを思い出した。
酒屋のアルバイトでトラックを運転していたころ

重いハンドルでギアーチェンジを繰り返し、
ディーゼルエンジンのうなる音を背中で感じ、
エアコンのない2トントラックで
中央区銀座あたりの酒屋さんに配達の仕事をしていた。

・・・

トラックの荷台にビンビールや生ビールの樽、
酒類をめいっぱい積み込み
酒屋さんを何軒も回る。

・・・・
ちょうど、アサヒビールのスーパードライがヒットし始めたとき、
どこの酒屋さんも、
スーパードライの奪い合い。
その年の夏は、荷台にいつも以上のビールケースを積んでいた。
ビールを配達して、その店の空き瓶を積む。
最後の酒屋さんの配達が終わると、
トラックの荷台は空き瓶ケースが山積みになる。
クラクラ、ヘトヘト・・・
補給のための水分は、トラックの中で熱くなっている。
Tシャツは汗で何倍もの重さになっている。
少しでも早く配達を終わらせたい!

・・・・
銀座の裏通りの四つ角を
いつものように左折。
ちょっとスピードを落とすのが遅れた!っと思った瞬間
荷台の空き瓶がガタガタ、ガチャーン
という音とともに崩れ落ちた。
何が起こったか一瞬わからなかった。
すぐにトラックを道路の端に止めた。
四つ角にあるブティックから
血相を変えた女性が
「迷惑だから早く片付けて!」と飛んできた。
「すいません。すぐに片付けます。
ほうきを借りられませんか?」
「そんなものは自分で用意しなさいよ!」
向かいの喫茶店のマスターだろうか、
ほうきを貸してくれた。
ビールの空き瓶が散乱した四つ角。
どうにか、片づけが済んだころ、
ほうきを借りたマスターにお礼を言いに行った。
マスターは、丸いステンレスのトレイに
氷の入った水を僕に差し出した。
遠慮なくいっきに飲み干した。


冷たい水が美味しかった。

実においしかった。
涙が出るほど、美味しかった・・・
ふと、今でも、その時のことを思い出すことがある。

Filed under: セミナー・研修 — oisi
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2件のコメント»
  1. たった1杯の氷が入ったお水。
    すごくおいしかったことでしょう。
    親切な喫茶店のご主人でよかったですね。
    昔のビールや炭酸はガラス瓶が当たり前でしたね。
    うちに来ていた酒屋さんも
    いつも汗びっしょりで配達して回収していました。
    お疲れ様でした。

    Comment by 匿名 — 2010年7月25日 10:41 AM
  2. どこのお店だか、忘れてしまったのですが、その時のお礼を言いたいですね。
    ・・・
    ビールはやっぱりビンのほうが美味しいですね。

    Comment by oisi — 2010年7月26日 5:55 AM
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